技能実習の法令順守

技能実習生に対しては、一般の労働者と同じく労働基準法が適用されますが、ほかに技能実習だけに適用される法令もあります。
企業での運用が、法律の基準を上回っているのならばまだいいのですが、基準を満たしていない場合は修正が必要となります。

「賃金控除に関する労使協定」

労働基準法の規定で、技能実習生の給与から寮費・水道光熱費などを差し引くことはできません。ただし労働基準法では「労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」とあります。つまり労使協定を締結すれば可能となるわけです。

ある会社では、労使協定の締結でなく、技能実習生から個別に「確認書」をとっていました。たしかに協定書だけより、技能実習生から書面で同意をとれば意思確認は確実です。

問題は、その会社が労使協定を締結していなかったことでした。
まず労使協定を締結して、そのうえで「確認書」をとることは法律上は問題ありません。
しかし「確認書」をとるだけで、労使協定が無ければ労働基準法違反となります。

「農業における36協定」

農業では、労働基準法の労働時間関係が適用除外ですから、36協定の締結や所轄労働基準監督署長への届出は必要ありません。

ただし外国人技能実習生に対しては、農林水産省の指導により労働基準法に準拠するよう運用されています。したがって技能実習生に時間外労働や休日労働をさせる場合には「36協定」の締結が必要です。

ある農家は「36協定」を締結していませんでした。労働基準監督署の見解は「労働基準法での指導はしません」ということでした。しかし外国人技能実習機構の監査で指導対象になる可能性がありますので、技能実習生は「36協定」の対象としたほうがよさそうです。

おまけ

ある会社では「監理組合から和室にベットを置いてはいけない。布団を使うように。」との指導があったと聞きました。なぜダメなのか?根拠となる法律が見つかりませんでした。

先日、「事業附属寄宿舎規程(昭和二十二年労働省令第七号)」を読んでいて、「寝台を設けない場合には、畳敷とすること。」という条文を見つけました。

随分、昔の省令です。この「寝台(ベット)がない場合は畳敷き」が、何かの間違いで「畳敷きの場合はベットはダメ」となったのかもしれません。